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国民的作家ディケンズについて 解題

Dickens is one of those writers who are well worth stealing. Even the burial of his body in Westminster Abbey was a species of theft, if you come to think of it. (Charles Dickens, 1939)

ディケンズは盗むに値する作家の一人だ。考えてみれば、ウェストミンスター寺院に彼の体を埋葬することさえも一種の盗みであった。


オーウェルらしいユーモア溢れるディケンズ論の冒頭である。ディケンズ自身は亡くなったらロチェスターに私人として埋葬されたいと希望していたらしいが、結局ウェストミンスター寺院に埋葬されることになった。その事実を考慮した上でこの文章を読むと、その上手さがわかる。


昨年末6年振りにロンドンを訪れ、初めてディケンズ博物館へ行った。博物館の盛況ぶりから、ディケンズの国境を越えた人気が見て取れた。父親が債務者監獄(博物館には監獄を模したものがあった)に収監され、12歳の時に靴墨工場で働くことを余儀なくされた暗い過去を持つディケンズ。そのような辛い経験をしたからこそ、労働者階級の目線で物事を捉えることができたのであろう。


あのドフトエフスキーが愛読した作家である。イギリスの国民的作家と言えば、やはりディケンズになるのであろう。イギリス文学を専攻するのものであれば、一度はDickensianにならねばならないと言われたことがある。オーウェルのエッセイを通して久しぶりにディケンズの文章に触れたが、素晴らしいと同時に難解であった。ロンドンの自分への土産として購入した『大いなる遺産』をまずは読まなければ。



次回もオーウェルの素晴らしい一文を取り上げます!


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