top of page
ブログ

生きていくためには仕方がない 解題


He is pouring his immortal spirit down the drain, half a pint at a time. (Confessions of a Book Reviewer,1946)

彼は自分の(物書きとしての)不滅の精神をどぶに流しているのだ。一度に半パイントずつ。

パイントというのはイギリスのパブでビールを頼む時に良く使われる単位で、正確には568mlを指すらしい。私がイギリスにいた時に “Do you fancy a pint tonight?”(今夜一杯どうだい?)という表現をよく聞いた。


ここでの不滅の精神というのは、物書き、作家としての良心を指すのだろう。原稿締め切りが近いと、ろくに当該の本を読んでもいないのに、書評を書かなければならない。書評家は生活のためにその清く正しい精神をドブに流し込むのである。このエッセイではものを書く職業に限定しているが、果たしてそうだろうか?

一日一回ブログ更新を課した私がこれを書いているのは、PM11:58

同じ心境である。もっとも、私は清く正しい精神など持ち合わせていないが。


一度に半パイント分という表現もイギリス的で、非常に面白い。いろいろな解釈ができると思うが、このエッセイに登場する主人公はおそらく、オーウェル自身だろうが、非常にみすぼらしい格好をしている。そこから、書評家というのは、有産階級ではないということは明らかだ。例えば、イギリスの労働者階級にとって仕事の後の1パイントは、一滴も無駄にできないほど大切なものであると推察する。それを、半パイント捨てるのだ。その量は推して知るべしであろう。考えさせられる表現である。


 

次は、同調圧力についてのオーウェルの洞察に富む一文を紹介します!

26 views0 comments

Related Posts

See All

片目の平和主義(My Country Right or Left)

Ours was the one-eyed pacifism that is peculiar to sheltered countries with strong navies. (My Country Right or Left, 1940) 1940年という年はイギリスにとって特別な年だ。ドイツの空爆(The Blitz)が始まった年であり、チャーチルがチェンバレンに代わって首相になった年で

イギリスは芸術家が少ない?解題

Here are a couple of generalizations about England that would be accepted by almost all observers. One is that the English are not gifted artistically. (The Lion and the Unicorn, 1940) ほぼ全ての観察者に受け入れられ

Comments


bottom of page