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『彼岸花』小山田浩子

Oyamada is the Akutagwa Prize winner. What makes her story distinctive is the element of fauna and flora. Her depiction of flowers is effective enough to evoke the scent physically from pages. I believe one of the most important themes of this short story is “interpretations”. Spider lilies are usually considered ominous flowers with their poison in Japan. However, they are at the same time medicinal plants. Depending on the place where they grow, they can be the flowers which must be yanked out or the ones which remind us of autumn. A variety of juxtapositions between the city and country, the grand mother-in-law and the mother-in-law, red and white are interwoven. The border between what’s real and what’s fake blurs. What the grandmother-in-law says about breast milk and what the mother-in-law says about it differs. Who is saying the truth? Who is lying? The protagonist gets puzzled. So do the readers. Probably, they are both telling the “truth”. If you haven’t read Oyamada’s works, this could be a good start! This short story is available on the Granta website. I strongly recommend “The Hole” as well! Such a great story to start with in the year 2023!

 

『彼岸花』小山田浩子 赤と白、都会と田舎、嫁と姑、様々な対比が描かれる。この短編の一つの重要なテーマは「解釈」であろう。毒にも薬にもなる彼岸花。赤にも白にもなる彼岸花。群生する場所によって目の敵にされたり、秋を彩る素朴な花にもなる彼岸花。 物語は主人公の父方の祖母の法要の後、墓地の周りに生えている彼岸花を執拗なまでにむしり取る父親のシーンから始まる。不吉な始まりだ。この物語には様々な花や植物が登場する。彼岸花、菊、盆栽、見舞いの花、華道愛好家が活けた花。花は読者に様々なものを喚起する。強い香りが描写される件は、匂いが物理的にページから立ち上がってくるようだ。そして物語は象徴的に白い彼岸花で締め括られる。どぎつい赤色の野生味溢れる彼岸花と落ち着いた白の制御された彼岸花の対比が見事だ。

この短編で際立つのは各世代間のやりとりだ。義祖母と義母、義祖母と主人公。同じ事象に対して義祖母と義母が言っていることが食い違うために、主人公は混乱する。そして読者も混乱する。どちらが嘘をついているのか。その事象は乳について。いや、どちらも嘘はついていないのかもしれない。義祖母の「解釈」が義母の「解釈」と異なっているだけに過ぎないのではないか。義祖母にとっての乳とは何なのか。ものもらいのために乳が効くという。彼女はそれを夫や義父の眼へと注ぐ。そこでは乳は回復の象徴である。反面、それは家父長に根差した男たちへの奉仕、屈服を示すものでもあるかもしれない。その伝統的な女性の役割を義母が拒んだのではないか? 大地に近いところで生活する、伝統の知恵を体現する「自然体」の義祖母、彼岸花を全部抜いて処分した、声を不自然に高くする義母、その間で揺れる主人公。女性としてどの道を選ぶのか。 「本物」と「偽物」の境界線の曖昧さ、上の世代からの期待と抑圧、家父長制、何回読み直しても新しい解釈ができます。ディスカッションで面白く感じたのは、自分がいかに男性的な読み方をしているかということです。参加者は全員女性でしたが、強く独立した女性像を主人公に見出しており、とても興味深かったです。授業の後、反省をこめてもう一度読み返しました。短編集『庭』に収録されています。強くお薦めします!

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